「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(2017年度 基盤研究(A)課題番号︰17H00912 研究代表者 伊藤鉄也)

 

朝顔『十帖源氏』「桐壺」対訳

『十帖源氏』版本から「桐壺」部分を翻字し、現代語訳にしました。約10カ国語に翻訳し、対訳をおこないます(現在依頼中)。
完成後は、版本本文・翻字と各国語の対訳閲覧を目指します。


 

「桐壺」巻の多言語翻訳用の現代日本語訳は、すでに予定している方々にお渡しして翻訳をお願いすることになります。
多言語での翻訳ができた資料の整理を終えたものから、次のような完成イメージを目指して公開していく予定です。

 

『おさな源氏』

『おさな源氏』ツール初期構想

 

これは、2005年度の科研「外国語による日本文学研究文献のデータベース化に関する調査研究」 (基盤研究B、課題番号[15320034]研究代表者︰伊藤鉄也)における研究成果の一部です。
もう少し詳しくいうと、オーストリアのウィーン大学で開催された国際学会(EAJS)で、『源氏物語の享受と変容』と題して研究発表した内容の一部をなすものです。
ウィーン大学で報告した内容を、以下に引いておきます。
ここでは『おさな源氏』の多言語翻訳としています。しかし、その後の翻訳作業を通して、対象とするテキストを今は『おさな源氏』から『十帖源氏』に変更しています

日本文学研究に関する情報の共有化(伊藤鉄也)

◆キーワード◆ 海外における日本文学研究、情報発信と情報共有、『おさな源氏』、多言語翻訳

1、『おさな源氏』の多言語翻訳について

『おさな源氏』は、江戸時代に出版された『源氏物語』のダイジェスト版である。『おさな源氏』には絵も付いているので、ビジュアルである上に簡便に『源氏物語』の内容を知ることができる本である。この『おさな源氏』を、20カ国の言語に翻訳する、多国語翻訳プロジェクトを紹介する。
現在、「桐壺」巻を20カ国語に翻訳することを進めている。今までに、英語、スペイン語、ヒンディー語、トルコ語、中国語ができている。これには、『おさな源氏』の版本の影印画像が、常に画面で確認できる仕様となっている。
上図で少し説明しよう。画面中央の上段は、『おさな源氏』の版本の影印画像である。その下は、影印該当部分の翻刻本文となっている。この2段の表示領域には、常にこの2種類の本文が明示される。それに比べて、右側の3段は自由に見たい情報が切り替えられる。
図版では、上段に『おさな源氏』の日本語現代語訳を、中段に英語訳を、下段にヒンディー語訳が表示されている。この3つの窓に何語の翻訳を表示するかは、左端の上段・中段・下段のプルダウンメニューを使うことになる。
この試みは、海外の方々と『源氏物語』を共有する上で、有益なコミュニケーションツールとなるはずである。このプロジェクトに、一人でも多くの方々が参加してくださることを願っている。

(出典:『源氏物語の享受と変容』伊藤鉄也ほか、2005年)

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