「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(2017年度 基盤研究(A)課題番号︰17H00912 研究代表者 伊藤鉄也)

 

朝顔 海外平安文学研究ジャーナルvol.6.0


伊藤鉄也 編/2017年03月30日発刊(非売品)

●目次

あいさつ 伊藤 鉄也 p3

2013 年にスタートした本科研の課題も、2017 年3月をもって無事に終えることとなりました。この間にご協力いただきましたみなさまに、心よりお礼申し上げます。

研究論文 『十帖源氏』の本文と各種版本―和歌の異文と解釈の問題― 清水婦久子 p11

『十帖源氏』の現代語訳を基に海外の方々に翻訳をお願いしているが、翻訳以前に、現代の日本語に訳す段階で留意すべきこともある。『十帖源氏』がどのような本なのか、その歴史的背景と本文の特徴を明らかにしておく必要があるだろう。本稿では、既に論じたことと合わせて、同時代の版本や本文・注釈などとの関わり、物語の解釈に関わる問題について述べる。

研究論文 母語話者・非母語話者によるロシア語訳『十帖源氏』桐壺巻比較考―母語話者による翻訳に見る日本文化の受容― 土田久美子 p29

 本科研の企画により、2015 年に筆者は『十帖源氏』桐壺巻を非母語話者としてロシア語に翻訳した。母語話者としての翻訳は、モスクワにあるロシア国立人文大学・日本人文学専攻三年生(当時)のマザイ・セリモフ氏が行った1。彼は、同大学の教授で『紫式部日記』のロシア語訳を手がけた日本文学・歴史学者アレクサンドル・メシェリャコフ氏の教え子である。

研究論文 「交じらふ」女主人公―ジェンダーコードの視点から読む『とりかへばや物語』― 庄婕淳  p39

 『とりかへばや物語』において「異性装」はいかなる意味を持つのであろうか。先行研究において、きょうだいたちのそれぞれのジェンダーは「男性的」「女性的」というような、現代的な感覚から自明的なもののように捉えられている。ジェンダーの視点から検討する先行研究の多くも、きょうだいを一対のものとして扱い、その交換可能の論理を中心に論じるものである。小論はそれと方向性を換え、ジュディス・バトラーのジェンダー理論を摂取し、ジェンダーが社会によって構築された一種のパフォーマンスであるとする認識のもと、「男性的」「女性的」と自明視している観念から脱出し、当時の歴史的文脈に基づき、テクストに集約されているジェンダーコードの表出を読み直すことで、文学史の視点から、『とりかへばや物語』を中心として、当時の文学におけるジェンダーに関する言説の構築を解明する。

研究の最前線 「訳し戻し」という「翻訳」  藤井由紀子 p61

 先日、高大連携事業の一環で、高校で出張講義を行った。「文学」という広い範囲での講義依頼であったため、私の専門とする平安時代の文学に、必ずしも全員が興味を持っているわけではないだろうと考え、『源氏物語』桐壺巻の冒頭の一文について、古文の解釈を示した上で、日本語の現代語訳や、英語の翻訳をいくつか並べて紹介してみた。

研究の最前線 英訳『今昔物語集』兵と戦いの世界 淺川槙子 p65

今まで『海外平安文学研究ジャーナル』では、各国語訳『源氏物語』(英語・フランス語・中国語・ロシア語・スペイン語・イタリア語・ウルドゥー語)のほか、『伊勢物語』(英語・スペイン語・フランス語)と『宇津保物語』(中国語との比較)についての論文・報告が掲載されている。作中人物の呼称、色、官職名、物語全般における問題点など、その視点はさまざまである。

科研活動報告 科研活動報告 vol.2 加々良恵子 p93

サイト利用状況/データベース登録情報/科研の活動記録/翻訳された『源氏物語』の言語について

【付録】各国語訳『源氏物語』「桐壺」「若紫」『十帖源氏』「桐壺」翻訳データ  p103

『源氏物語』各国語訳翻訳データ「桐壺」(イタリア語・ロシア語・中国語・ヒンディー語・ウルドゥー語)、「若紫」(イタリア語・ロシア語・ヒンディー語・ウルドゥー語)/『十帖源氏』翻訳データ「桐壺」(中国語)

執筆者一覧 p259

執筆者一覧

編集後記 p260

編集後記

研究組織 p261

研究組織

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