「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(2017年度 基盤研究(A)課題番号︰17H00912 研究代表者 伊藤鉄也)

第12回研究会報告(2019/12/18)

伊藤科研 第12回「海外における平安文学」研究会報告

 

■日時:2019年3月14日(木)14:00~17:00

■場所:大阪観光大学 明浄1号館4階141セミナー室

 

■プログラム

・挨拶(伊藤鉄也)14:00~14:05

・自己紹介 14:05~14:20

・報告「2018年度の活動報告と2019年度の活動予定」(大山佳美)14:20~14:30

・研究発表「桐壺更衣に準えられた后妃たち-『今鏡』の后妃記事に見る『源氏物語』享受の様相-」

(小笠原愛子)14:30~15:10

・休憩(20分)

・研究発表「本歌取りの翻訳の可能性について」(フィットレル・アーロン)15:30~16:10

・休憩(20分)

・報告「2018年度の活動から学んだこと」(池野陽香、門宗一郎、田中良、松口果歩、松口莉歩) 16:30~16:50

・挨拶(伊藤鉄也)16:50~17:00

・連絡事項

 

■議事録

・報告「2018年度の活動報告と2019年度の活動予定」(大山佳美)

本科研における2018年度の活動報告と、2019年度の活動予定についての報告がおこなわれた。

具体的には、

(1)ペルー、アメリカ、ミャンマー、ルーマニアで調査研究を実施した

(2)『平安文学翻訳本集成《2018》』を刊行した
(3)ルーマニア語訳『源氏物語』を発見し、翻訳者と会談をおこなった
など、2018年度は多彩な活動をおこなった。

・研究発表「桐壺更衣に準えられた后妃たち-『今鏡』の后妃記事に見る『源氏物語』享受の様相-」(小笠原愛子)

歴史物語の新しい見方を示してくださった発表であった。『今鏡』は平安時代の秩序と違う書き方をしている、ということから始まり、「桐壺」巻ではできなかった皇妃の扱いが、院政期ではできたことが多い、という指摘があった。『今鏡』はあまり読まれない作品であるものの、さまざまな切り口があることがわかる内容であった。特に、桐壺更衣に重ねられる美福門院得子などには、翻訳とでも言うべき変容がうかがえて興味深い発表でもあった。

質問としては、「平安時代に日本書紀が読まれていたけれども、それが中断されてから、『大鏡』はどれだけ読まれていたのか?」『今鏡』も当時はどれだけ読まれていたのか?」などがあり、時代背景に関する意見交換もあった。

 

・研究発表「本歌取りの翻訳の可能性について」(フィットレル・アーロン)

『新古今集』を中心とした和歌を英訳した場合を例示して、本歌取りに関する英訳の特色と違いを検討するものであった。Honda 訳、Rodd 訳、Mostow訳を比較検討しながら、引歌の認定や解釈の諸相に切り込むものであり、あくまでも中間報告としながらも、多彩な観点からの考察であった。

質問としては、「翻訳者においてルールがあるのか?」、「西洋の引用などの実態についてはどのようなものであるのか?」、「解釈と美的な視点での格調の違いはなにか?」などがあった。

また、フィットレル氏から、『平安文学翻訳本集成〈2018〉』の翻訳史年表の間違いをいくつか指摘していただいたので、掲載しておく。なお、以下の3点は後日、修正をおこなった。

(誤→正)

・1978『枕草子』 ハンガリー語 → ルーマニア語

・1977『枕草子』 ハンガリー語 → ルーマニア語

・1875『土左日記』ドイツ語 → 英語

 

・報告「2018年度の活動から学んだこと」(池野陽香、門宗一郎、田中良、松口果歩、松口莉歩)

本科研における2018年度の活動について、報告者から各自感想を述べてもらった。

・街中の変体仮名が気になりだした

・本屋で洋書コーナーに行くようになった

・知らない言語を見るのが楽しくなった

・展示を通して多くのスキルを学んだ

・編集でフォントの違いと扱い方を知った

・仕事の裏側を知って人の苦労がわかった

以上