論文名
スペイン語版『源氏物語』の評価と享受執筆者
高木香世子掲載誌名
海外平安文学研究ジャーナルvol.1.0発表・刊行年
2014パスワード請求フォーム
要旨
日本文学のスペイン語圏への紹介は、20 世紀に入ってから主としてフランス語あるいは英語からの重訳で始まり、ラフカディオ・ハーン(Patrick Lafcadio Hearn)の『怪談』や 新渡戸稲造の『武士道』、岡倉天心の Book of Tea などが出版され、幸いな事にこれらは現在にいたるまで再版され続けている。しかしながら、スペイン語圏で日本文学について話す場合の大きな悩みは、重訳という問題以上に、翻訳された作品の絶対数がなんと言っても少なく、テーマがこれらの作品に限られてしまうことであった。21 世紀に入るまでは、川端康成や大江健三郎のノーベル賞受賞、あるいは三島由紀夫のセンセーショナルな切腹事件によって起こった日本文学紹介の波に乗って、スペインにおいても紹介が行われて来たというのが否めない事実である。しかし、こうした歴史的状況はここへ来て急速に改善されつつあると感じられる。(※冒頭部分)