論文名
『源氏物語』の「京都」はどう英訳されたか― 創造された京都と、変貌する『源氏物語』執筆者
須藤圭掲載誌名
海外平安文学研究ジャーナルvol.1.0発表・刊行年
2014パスワード請求フォーム
要旨
いま、ここにある、源氏物語とは何か。わたしたちが手にとり、わたしたちが読む源氏物語とは、いったい、どのような存在であるのか。それは、膨張し、変貌した源氏物語だ。本稿では、源氏物語の、こうした様態を捉えてみたい。源氏物語は、あまたの日本文学のなかでも、異質なほどに凛とした、きらびやかな輝きを放ちつづけている。日本というひとつの地域にとどまらず、世界にまで広く波及し、その外国語訳も多くが刊行されている。そこで、本稿では、これらの外国語訳のうち、試みに、1925 年から1933 年にかけて刊行されたアーサー・ウェイリー英訳のThe Tale of Genji を具体例としてとりあげる。そのことばを見つめながら、源氏物語の世界へ分け入ってみることにしよう。(※冒頭部分)