「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(2017年度 基盤研究(A)課題番号︰17H00912 研究代表者 伊藤鉄也)

 

朝顔 海外平安文学研究ジャーナルvol.7.0


伊藤鉄也 編/2020年3月30日発刊(非売品)

  • 目次
あいさつ 伊藤鉄也 p3

 

2017年4月にスタートした科学研究費補助金による基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号:17H00912、研究代表者:伊藤鉄也)は、3年目の2019年4月から研究基盤機関を大阪大学に移し、2021年3月まで継続することとなりました。

研究論文 平安文化をインドにどう伝えるか―『源氏物語』〈桐壺〉のウルドゥー語訳を検討する― モハンマド・モインウッディン p11

本論では、文学を通した日本文化のインドへの伝わり方を、日本を代表する古典文学『源氏物語』のウルドゥー語訳を使って分析する。それを、日印文化交流についての研究の的を絞る第一歩としたい。

 

研究論文 『とりかへばや物語』の中国語訳の試み 庄 婕淳 p32

 

『とりかへばや物語』は平安後期に成立した「異性装」を題材とする物語である。この物語は、先行物語である『源氏物語』『夜の寝覚』などが拓いた女性の人生の変転を辿った「女の物語」の伝統を継承し、女主人公を主体的に行動させ、さらに彼女に漢学の才能を賦与することで、新しい人物造形を試みている。

 

研究論文 ロシア語訳『源氏物語』 初訳と改訳の比較考― 移り詞・和歌・「もののあはれ」を中心に― 土田 久美子 p52

 

ロシアにおいて『源氏物語』に対する関心は古くからあり、ソ連日本学の父と呼ばれる日本学者ニコライ・ヨシフォヴィチ・コンラドが、アーサー・ウェイリーによる英訳より一年早い1924年に空蝉の巻のロシア語訳を発表していた。ただし完訳は、日本文学翻訳家タチアーナ・リィヴォヴナ・ソコロワ=デリューシナ氏により、1991年から93年にかけて出版された。それが完売すると、2001年に再版された 。『新時代』誌(2001年10月7日付)に掲載された書評では、「美的価値の点で比類のないもの」と高く評価され、再版も売り切れた。

 

研究論文 『更級日記』ハンガリー語訳注について フィットレル・アーロン p75

 

ハンガリーで知られている日本古典文学作品は、松尾芭蕉や小林一茶や与謝蕪村をはじめ、近世の俳諧が圧倒的に多く、平安~室町時代の文学作品で紹介されているものはそれほど多くない。一方、上代の代表的な文献である『古事記』は原典からのハンガリー語訳が存する。

 

研究会拾遺 桐壺更衣に準えられた后妃たち ―『今鏡』の后妃記事に見る、院政期における『源氏物語』享受の一様相― 小笠原 愛子 p103

 

『源氏物語』は、同時代以降の作品に多大な影響を与えており、多くの作品に、様々な形態・次元での引用が見られる。それら『源氏物語』からの引用部分には、当然ながら引用主体の解釈が反映されており、時には『源氏物語』の文脈から大きく乖離しているように見えるものもある。後代の作品に引用された『源氏物語』には、いわば異文化による解釈が施されているからである。同一言語であっても、そこには他言語に翻訳された際に往々にして見られるような、『源氏物語』の変容が見られるのである。

 

研究会拾遺 AIによる翻訳から古典文学の翻訳を考える―『十帖源氏』と『盛衰記繪抄』を例として― 淺川 槙子 p129

科学研究費補助金助成事業による本研究(以下、本科研)では、前回の研究から引き続き、『源氏物語』の簡約本である『十帖源氏』の多言語翻訳についての研究をおこない、本科研のサイトである「海外平安文学情報」、既刊の『海外平安文学研究ジャーナル』においてその成果を公開してきた。特に、後者において『十帖源氏』の多言語翻訳データを公開する際は、『源氏物語』の本文に合わせて作成した小見出しと現代語訳に対応させた一覧表という形にして掲載している。その際、日本語で書かれた現代語訳が多言語翻訳のデータで対応する箇所を確認するには、グーグル翻訳を用いて多言語翻訳データを翻訳し、大まかな内容の確認をするという作業をおこなってきた。グーグル翻訳はヨーロッパ・アジアを問わず多くの言語に対応していたからである。

 

海外調査硏究拾遺 -インド・ミャンマー・ペルー・アメリカ・ルーマニア- 伊藤 鉄也  p155

本科研では、異文化交流と翻訳情報の調査研究を目的として、海外への実地調査を積極的に実施しています。

科研活動報告 大山 佳美  p238

本科研の調査研究と目標をもとに、2017年度、2018年度の活動進捗状況を報告する。

付録 『源氏物語』「須磨」ロシア語 土田 久美子  p257

 

ロシア語訳『源氏物語』「須磨」データ

 

執筆者一覧 p289

 

執筆者一覧

 

編集後記 p290

 

編集後記

 

研究組織 p291

 

研究組織

 

 

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