第6回「海外における平安文学」研究会報告(2015/08/22)

2015年度 伊藤科研 第6回研究会
日時:2015年8月22日(土)15:00〜18:00
場所:国文学研究資料館・第1会議室(2階)

8月22日(土)国文学研究資料館・第1会議室にて、第6回研究会を開催しました。

参加者:伊藤鉄也、荒木浩、清水婦久子、藤井由紀子、髙田智和、野本忠司、須藤圭、庄婕淳、雨野弥生、土田久美子、イザベラ・ディオニシオ、加々良恵子、淺川槙子(以上13名)

 

●2014年度の研究報告

現在の調査研究の進行状況を報告

●本科研のHP「海外源氏情報」についての報告

●2015年度の研究計画

来年度を視野に入れたジャーナル、報告書、翻訳事典などの計画を報告。

●モンゴル語訳『源氏物語』について

詳細はジャーナル3号にて掲載

●各国語訳『源氏物語』・『十帖源氏』「桐壺」について

詳細はジャーナル3号にて掲載

●各国語訳『源氏物語』・『十帖源氏』の翻訳データに関するディスカッション

詳細はジャーナル3号にて掲載

●連絡及び打ち合わせ

●諸連絡

【研究会の日程】
第7回(通算)は2016年2月中旬(於:京都)を予定している。

【ジャーナル発行の予定】
第3号は2015年9月30日発行予定(7月31日原稿締め切り予定)
第4号は2016年3月15日発行予定(1月31日原稿締め切り予定)

2014年度更新&稼働報告

2014年度の本サイトの更新・稼働状況は以下の通りでした。

● 海外平安文学研究ジャーナル

vol. 1.0 2014/11/26発行、 vol. 2.0 2015/03/11発行(計2冊)

● 研究会・国際集会

研究会第3回・4回(今西科研と合同)・5回を開催(計3回)
国際研究集会「日本古典文学の可能性と異文化の交響」(カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学)

● 翻訳史データ更新

『源氏物語』翻訳史 211件
平安文学翻訳史 569件

● 論文検索

翻訳 – 源氏物語・平安文学論文検索 384件
海外 – 源氏物語・平安文学論文 124件

● 運用

年月 総アクセス数 日 本 海 外 備考
2014年5月 3489 2782 687 計測開始。『日本古典文学翻訳事典1』ダウンロード開始。
2014年6月 1585 1246 339
2014年7月 1995 1604 391
2014年8月 1246 985 281
2014年9月 1398 958 440
2014年10月 2296 1749 547
2014年11月 2106 1535 571 海外平安文学研究ジャーナルvol.1発行
2014年12月 2274 1554 720
2015年1月 2329 1800 529
2015年2月 3681 1081 2600
2015年3月 3009 1654 1355 海外平安文学研究ジャーナルvol.2発行
小計 25408 16948 8460
月平均 2309.8 1540.7 769.1

第5回「海外における平安文学」研究会報告(2015/02/27)

2014年度 伊藤科研 第5回研究会
日時:2015年2月27日(金)16:30〜18:00
場所:大学コンソーシアム・キャンパスプラザ京都 第2演習室(5階)

2月27日(金)キャンパスプラザ京都にて、第5回研究会を開催しました。

参加者:伊藤鉄也、荒木浩、清水婦久子、ラリー・ウォーカー、須藤圭、マリアエレナ・ラッフィ、テレサ・マルティネス・フェルナンデス、庄婕淳、川内有子、淺川槙子(以上11名)

●2014年度の研究報告
1. 翻訳から見た日本文化の変容 −各国語訳『源氏物語』訳し戻しと調査研究−
 現在、32言語中8言語について訳し戻しが終わっている。このうち、スペイン語訳の約し戻しのデータを第3回研究会(6月6日開催)で公開し、「国文学研究資料館蔵『源氏物語団扇画帖』」事物索引」にある語の比較検討を行った。その結果、儀礼・行動に関する語と植物に関する語でさまざまな訳出がされていることがわかった。時間の関係上、抽出した語に偏りがあったため、来年度も継続して調査研究を進める予定である。スペイン語以外の言語についても、随時、調査研究を行う。

2. 『十帖源氏』の翻訳と研究
「桐壺」巻の現代語訳を多言語に翻訳し、日本文化の変容をみるものである。今年度は以下の言語について、母語話者・非母語話者に翻訳を依頼した。英語、スペイン語、イタリア語、ヒンディー語、ウルドゥー語の5言語である。

3. グロッサリーの研究と編纂
『世界へひらく和歌』のうち、海野圭介氏の論文「「読み」の歴史―中世における古今和歌集の読み解きをめぐって―」の日本文と英文を対照にした表を作成した。

4. 調査・本科研HPについて
(1)科研サイト「海外源氏情報」について
運用報告については、『日本古典文学翻訳事典1』と『ジャーナル1.0』を公開した次の月の総アクセス数が多い。海外よりも日本からのアクセスが多いが、不正アクセスも多い。
(2)利用可能なサービスの紹介
・科研活動の報告(本科研の詳細情報、計画のあらまし、研究成果、研究会報告など)
・最新源氏物語関連情報の更新
・『日本古典文学翻訳辞典1』のPDFファイル・ダウンロード(※2013年度研究報告書)
・『海外平安文学ジャーナル』のPDFファイル・ダウンロード
・源氏物語翻訳史/平安文学翻訳史の公開
・翻訳−源氏物語・平安文学論文検索機能
・論文(PDFファイル)ダウンロード
・海外−源氏物語・平安文学論文検索機能(※源氏物語のみ実装)
・『源氏物語』原本データベース
・『十帖源氏』論文リスト
・『十帖源氏』原本データベース
・平安文学関連Webサイトリスト

(3)更新通知用ツイッターの運用開始
2015年2月3日から、HP更新通知用にツイッターの運用を開始した。

5. 報告書・論文集関係
『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188−8035)の第1号(1.0)を2014年11月末に発行した。第2号(2.0)は2015年3月11日に発行予定である。当日は暫定版の第2号(2.0)を回覧した。また『海外平安文学ジャーナル』のダウンロード方法について説明があった。

(1)簡単なアンケートに回答後、パスワードが表示される。
(2)ジャーナルの詳細ページに戻って、ダウンロードする。パスワードを求められるので、(1)で入手したパスワードを入力する。詳細は科研サイト内の「『海外平安文学研究ジャーナル』のダウンロード方法」(https://genjiito.org/cms/howtodaunload/)を参照のこと。

●グロッサリー試行版テキストの公開とディスカッション
(発表者:海野圭介先生)
作成の現状と課題について、試行版テキストの公開を含めてディスカッションを行った。
1 現状−試行版テキストの作成と公開
『世界へひらく和歌』(勉誠出版、2012年)に掲載されている海野圭介氏の論文を対象として、試行版テキストを作成した。英文を日本語に対応させる形で区分けし、完全に一致しない場合は、枠を広げて表示した。また、キーワードなどは設定せず、任意の語彙を検索対象とした。

2 課題
・定義付けは必要であるか
・著作権の問題をどう対処するか

3 意見
・文学では語義の定義付けは少ないのではないか。
・語義を定義付けする場合は、平板的な意味にする必要がある。このグロッサリーに掲載されている意味が、他で使うことができないのでは意味がない。
・日本語の論文に英訳の要旨や付いている雑誌があるので、そういった雑誌を発行する機関の許可を頂ければ、容易にできるか。

●2015年度の研究計画
(担当者:伊藤鉄也先生)
1. 翻訳から見た日本文化の変容 
(1)各国語訳『源氏物語』の訳し戻しを使った調査研究の継続
 第3回研究会で公開した、スペイン語訳の訳し戻しデータを整理して、資料集の形で公開する予定である。この他、訳し戻しデータが存在する言語についても同様に行い、研究会等で公開していきたい。
(2)最終年度刊行予定の『日本古典文学翻訳事典2』の解題作成と編集
 この事典は、英訳以外の言語で翻訳された平安文学(『源氏物語』を除く)を集めたものである。現在、既存のデータの整理を行いつつ、解題作成と調査研究を行っている。

2. 『十帖源氏』の翻訳と研究
 来年度は、既に依頼している以下の言語についての多言語翻訳を基礎として、調査研究を進めたいと考えている。

3. グロッサリーの研究と編纂
 最終年度での完成・運用にむけて、本格的に研究と編纂を進める予定である。

4. 調査・本科研HPについて
 本科研HP「海外源氏情報」で公開しているデータベースについて、情報の追加・訂正等を随時行う。研究の状況によっては、新規のデータベースを作成する場合もある。

5. 報告書・論文集関係
『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188−8035)の第3号・第4号を発行する。本科研の連携研究者・研究協力者のうち、執筆していない方の論文を積極的に取り上げたいと思っている。

●『源氏物語』末松英訳初版表紙のバリエーションについて
(発表者:ラリ-・ウォ-カ-先生)
 レベッカ・クレメンツ氏の調査によると、初版本は320冊中242冊が販売され、78冊が翻訳者に進呈されている。世界中の図書館に50冊くらいの初版本が所蔵されている。今回は以下の三冊の表紙についての発表であった。
(1)初版本 Trūbner社 1882年 定番の本
(2)初版本 Trūbner社 1882年 表紙は赤と銀で彩色されたもので、題名が黒字で書かれている。
(3)再製本した初版本  灰色の表紙に金字で題名が書かれている。
 この3冊を比較すると、内容は同じであることがわかる。中でも(2)の本は珍しいものである。全部で300部発行され、同じ本が京都大学法学部図書室に所蔵されている。
 当日、(2)と同じ表紙を持つ本を清水先生にお持ち頂いて、参加者で回覧した。この本もTrūbner社から1882年に刊行されたもので、上記の3冊と内容は同じ本であった。奥付はない。

●諸連絡
【研究会の日程】
 来年度は年2回を予定している。第6回(通算)は8月21日(金)か22日(土)(於:国文学研究資料館)、第7回(通算)は2016年2月中旬(於:京都)を予定している。

【ジャーナル発行の予定】
第3号は2015年9月30日発行予定(7月31日原稿締め切り予定)
第4号は2016年3月15日発行予定(1月31日原稿締め切り予定)

国際研究集会「日本古典文学の可能性と異文化の交響」報告

2014年度 国際研究集会「日本古典文学の可能性と異文化の交響」
日時:2014年9月26日(金)
場所:ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)

9月26日(金)、ブリティッシュ・コロンビア大学アジアンセンターにおいて、今西科研と合同での国際研究集会が開催されました。発表内容は以下の通りです。

 

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■プログラム
国際研究集会 in Canada「日本古典文学の可能性と異文化の交響」

「翻訳からみた平安文学」”Heian Literature as Seen in Translation”

ゲルガナ・イワノワ(Gergana IVANOVA /シンシナティ大学 准教授)
「英訳された『枕草子』が作り出した大衆文化」”The Pillow Book in English Translation and Popular Culture”
緑川眞知子(MIDORIKAWA Machiko /早稲田大学 非常勤講師)
「小説として読まれた英訳源氏物語」”Reading Lady Murasaki’s ‘novel’: the reception of Genji monogatari ”
川内有子(KAWAUCHI Yuko /立命館大学 大学院博士後期課程1回生)
「1955 年のサイデンステッカー訳蜻蛉日記について」”Concerning the 1955 Seidensticker Translation of Kagerô nikki “

発表のあと、質疑応答がおこなわれ、活発な意見交換ができました。
この発表内容と意見交換については、ジャーナルに収録、発行の予定です。

今西科研・伊藤科研合同研究会報告(2014/08/18)

2014年度 今西科研・伊藤科研 合同研究会
日時:2014年8月18日(月)
場所:国文学研究資料館・第1会議室(2階)

8月18日(月)国文学研究資料館・第1会議室において、今西科研・伊藤科研 合同研究会を開催しました。
この研究会は9月に予定している国際研究集会のプレ発表としておこなわれたものです。

伊藤科研としては、以下の発表がされました。
・緑川眞知子「小説として読まれた英訳源氏物語」
・川内有子「1955年のサイデンステッカー訳蜻蛉日記について」

それぞれ活発な質疑応答がおこなわれました。この成果をもとに、さらに発表内容に検討を加え、9月の国際研究集会にのぞむ予定です。

緑川先生の発表の様子

なお、国際研究集会の日程・場所などは以下の通りです。

9月カナダ国際研究集会(国際交流研究集会)
■旅程:2014年9月24日(水)〜28日(日)(29日成田着)
■開催:現地2014年9月26日(金) ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)

■プログラム
国際研究集会 in Canada「日本古典文学の可能性と異文化の交響」
○午前の部:「翻訳からみた平安文学」 司会・伊藤鉄也
10:00 開会の挨拶 ジョシュア・モストウ(UBC 教授)
10:05 伊藤鉄也による科研趣旨説明
10:10 Gergana Ivanova(シンシナティ大学 准教授)
「英訳された『枕草子』が作り出した大衆文化」(30分)
“The Pillow Book in English Translation and Popular Culture”
10:40 緑川真知子(早稲田大学 非常勤講師)
「小説として読まれた英訳源氏物語」(30分)
11:10 休憩(20分)
11:30 川内有子(立命館大学 博士課程後期院生)
「1955年のサイデンステッカー訳蜻蛉日記について」(30分)
12:00 ディスカッション(30分)

12:30 休憩(1時間30分)

○午後の部:「漢字と仮名の表記情報学」 司会・海野圭介
14:00 今西祐一郎館長による科研趣旨説明
14:10 Torquil Duthie(UCLA 准教授)
「『万葉集』における書記の可能性」(30分)
“Possibilities of Writing in the Man’yoshu”
14:40 上野英子(実践女子大学 教授)
「伊勢物語と【表記情報学】―「伊勢物語歌絵」を軸に―」(30分)
15:10 休憩(20分)

15:30 伊藤鉄也(国文学研究資料館 教授)
「『蜻蛉日記』の表記情報」(30分)
16:00 海野圭介(国文学研究資料館 准教授)
「書の秘伝:入木道伝書に見る文字表記」(30分)
16:30 ディスカッション(30分)
17:00 閉会の挨拶:今西祐一郎(国文学研究資料館 館長)
17:05 終了予定

第3回「海外における平安文学」研究会報告(2014/06/06)

20140226第3回研究会

2014年度 伊藤科研 第3回研究会
日時:2014年6月6日(金)
場所:国文学研究資料館・第1会議室(2階)

6月6日(金)国文学研究資料館・第1会議室において、第3回研究会を開催しました。

伊藤代表の挨拶の後、担当者からの報告、のち資料をもとにディスカッションを行いました。
以下に抄録を掲載します。

1.2014年度4〜5月の報告
今年度に入ってからの2ヶ月間の活動報告がなされた。項目ごとの進捗は次の通りである。

(1)翻訳から見た日本文化の変容
昨年度に引き続き訳し戻しをおこなっている。

(2)グロッサリーの研究と編纂
資料の収集を進めている。

(3)翻訳研究論文データベース(各国語)
「源氏物語」「平安文学」の2種類にわけて、データベースを作成した。今後、逐次科研サイトにて公開していく予定である。

(4)海外における日本文学研究における論文データベース
先行研究の成果『海外における日本文学研究論文1+2』より平安文学に関する部分を抜粋。データベース化を行っている。

(5)『源氏物語』と平安文学に関するサイトの調査
調査を終了し、成果を科研サイトに公開している。

2.科研サイトの稼働状況について

4〜6月のアクセス数と翻訳辞典ダウンロード数を報告した。
また、現在公開しているデータベースや情報についての説明を行った。その際に、「翻訳者データベース」の作成について意見が出された。海外の翻訳者については、利用可能な海外データバンクが利用できるとのこと。今後、公開コンテンツとして検討する。

3.スペイン語訳『源氏物語』「桐壺」の解説とディスカッション

訳し戻しを終えたスペイン語訳「桐壺」(6種類)について内容ごとに小見出しを整理、72項目に分けて対比表を作成した。
さらに、(1)人物(2)儀礼(3)場所(4)調度・乗り物・色など(5)動物(6)植物(7)気象・時間・空間の7つに分け、関連する語をいくつか例にあげた(東宮、野分など)。このデータをもとに行われたディスカッションでは、以下のような意見が交わされた。

・語によっては文脈でみる必要があるのではないか。
・底本がわからない翻訳も、内容から類推が可能なケースもあるのでは。
・日本固有のものを現地のものに置き換えた場合、まったくイメージが異なるものになる場合がある。
・訳し戻し担当者の知識如何によって影響を受けている部分もある。
・人物(官職・位階・立場)に関する語は、あまり原文から離れる翻訳はない。
・「坊」などの建物を意味する語を、人を指し示す意味として翻訳していない。
・「袿」をチュニックとするなど、衣服に関する訳はおもしろい。
・平安時代の時刻である「申」などを時間で翻訳さずに、そのまま「申」としているのは、日本らしさを演出するための最近の傾向かもしれない。
・「虫の音」について、「羽ばたき」「やかましい音」「コロロギ」「甲高い声」等々多彩な翻訳がされている。
・注釈の対比も必要なのではないか。

4.今後の活動について

2014年度の計画については、以下の報告がされた。

(1)今後の研究会・国際集会の開催予定

①2014年8月18日(月)〜8月29日(金)のいずれかの日を予定。
・開催場所 国文学研究資料館
・今西先生の科研と合同で開催することを検討している。

②2014年9月26日(金)を予定。
・開催場所 ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)
・出発日 9月24日(水)/帰国日 9月28日(金)を予定

(2)科研の報告書について

・タイトル『海外における平安文学研究ジャーナル』
・Webでの公開。冊子形式はとらない。ただし、執筆者・科研のメンバーには、冊子形式での頒布も検討する。
・第1回目の締め切りは、2014年8月31日(日)。
・投稿された原稿を執筆者の業績とするために、「ISBN」の取得を検討する。

(3)中古文学会(平成26年度 春季大会)でのフリースペース出展について

今西先生の科研と本科研が、フリースペースに出展し、科研の報告書の展示等を行った(6月7〜8日、於:立教大学新座キャンパス)。また、好評のうちに『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』(希望者)を配布した。

なお、第4回研究会は上記参照。

第2回「海外における平安文学」研究会報告(2014/02/26)

20140226第2回研究会

2013年度 伊藤科研 第2回研究会
日時:2014年2月26日(水)
場所:キャンパスプラザ京都

2月26日(水)キャンパスプラザ京都において、第2回研究会が行われました。
伊藤代表から、科研についての趣旨説明と第1回研究会の報告、その後、現状について担当者から説明がなされました。
以下に抄録を掲載します。

1.第1回研究会の報告
京都での開催となった今回は、初顔合わせのメンバーもいることから簡単な自己紹介と、第1回研究会の報告が行われた(第1回報告については前回の報告書参照)。

2.現状について
第1回研究会後、進行したプロジェクトも含めて説明がなされた。
(1)「翻訳から見た日本文化の変容」
32言語中21言語において日本語に訳し戻す作業を依頼。
・対象巻:「桐壺」、1人が2〜3種類の翻訳を担当。
・3月末に10数種類の翻訳が集まる予定(現在、スペイン語・中国語・ドイツ語・イタリア語の翻訳が戻っている)。
なお、対象となる言語は、ベトナム語の翻訳本が発見されたことから、32言語に増えた。新規発見された書籍については継続調査中。
(2)海外における論文目録データベース
また、国文研の論文目録データベースの別枠として、7種類の言語での論文が掲載される方向で検討がなされている。
(3)グロッサリーについて
・海野先生が担当される。今後、メンバーに連絡がいく可能性があることを伝える。サマリーの対照表があれば、言いたい表現が探せる。ハルオ・シラネ先生の文章(『世界へひらく和歌–言語・共同体・ジェンダー』などの本)を活用し、用語集にないものを探す。

3.今後の活動と課題について
2014年度の計画については、以下の報告がされた。
・『十帖源氏』の翻訳を依頼
・グロッサリーの本格的な始動
・5月で第3回研究会を予定している(東京)

また、国文研がブリティッシュ・コロンビア大学と学術交流協定を結ぶ予定である。これを受け、2014年9月5日〜10日(予定)に今西先生の科研と合同で、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で研究会を開催する話が現在進行。伊藤科研からも開催に向け働きかけが進められている。なお、発表者は、今西先生・伊藤先生のそれぞれの科研から、約3名ずつとなる。

これらの報告をふまえ、参加者からは以下のような問いかけがなされた。

(1)清水先生が以前出演された『源氏の物語とはなにか』(全7回/関西テレビ京都チャンネル)を何らかの形で公開できないか(放送局は閉局しており、再放送が難しいことから)。
(2)清水先生が参加されるパリ国際シンポジウム、市川海老蔵講演『源氏物語』などの最新情報を提供することはできないか。

上記のうち(2)についてはすでに科研ホームページに反映した。
今後(1)のような映像資料も掲載可能な機能をつけていく予定である。

なお、第3回研究会は5月東京にて実施予定。

第1回「海外における平安文学」研究会報告(2014/02/03)

2013年度 伊藤科研 第1回研究会
日時:2014年2月3日(月)午後3時00分〜6時00分
場所:国文学研究資料館・第1会議室(2階)

2月3日(月)国文学研究資料館にて、第1回研究会が行われました。
伊藤代表から科研についての趣旨説明が改めて行われ、のち現状について担当者から説明されました。
以下に抄録を報告します。

1.「翻訳から見た日本文化の変容」
・現地『源氏物語』の翻訳は、31言語中21言語において日本語に訳し戻す作業を依頼済み。対象の巻は「桐壺」。
・翻訳論文データベースについては、『源氏物語』を優先的に、韓国出身の大学院生によって韓国内で発表された論文をリストアップ中。
・『海外文学における平安文学』『海外における源氏物語』掲載サイトの有無を再調査し、完了している。

2.『十帖源氏』の翻訳と研究
2014年以降の研究活動開始を予定。現在は予備調査中。

3.グロッサリーの研究と編纂
2014年度の開始を予定。

4.その他
・過去の発行物をもとに補筆改訂した『日本古典文学翻訳事典1<改訂英語編>』を発行(2014年3月31日)。
・外部サーバーを契約し、Wordpressを用いたホームページを開設した。今年度末までに、科研についての紹介ページを公開する予定。

また、今後の活動と課題についても活発な意見が出されました。洗い出された課題については、今後の活動内容に反映していきます。

なお、第2回研究会は2月26日(水)京都にて実施。